リンは人間にとって重要な構成元素で健康や運動にも大切
2019年06月20日人間の構成物質を考えたことはありますか?
およそですが、水60%、タンパク質10%、脂質10%、ミネラル5%、炭水化物は1%以下となっています。
元素で考えると、数はHが一番多く、重要比ではOが一番多くなっています。
重量比で続いて多いのが意外にも、Ca(カルシウム)で、その次がP(リン)となっています。
◎リンの歴史と基本的性質
リンは原子番号で15番目で、15属(+Ⅲ、+Ⅳ、+Ⅴ価の酸化数)の性質があります。
1969年にドイツの錬金術師であるヘンニヒ・ブラントが発見しました。
銀を金に出来ないかと人の尿を使って実験していた時に、尿に火をつけて蒸発させた時に偶然、発見したと言われています。
尿には微量のリン酸が含まれていたのです。
このリンは漢字で「燐」と書きます。
これは墓場で浮遊する火の玉である「鬼火」と言う意味があります。
死体から湧き出た霊や怨念に火がついて現れると思われていましたが、リンが燃えた時の反応で実際に起こります。
英語表記の場合では、「phosphorus」となり、「光りを運ぶもの」という意味があります。
リンは空気中で自然発火することから、こう呼ばれるようになったと考えられます。
リンの化合物は様々なものがあり、代表的なのが水素と結合したホスフィン(PH3)、酸素と水素が結合したリン酸(H3PO4)があります。
このリン酸がカルシウムと結合して、リン酸カルシウムとして骨を形成しています。
だから、人間の構成元素にはカルシウムとリンが多いのですね。
◎運動に必要なエネルギー要素
生化学において、このリンの化合物である「リン酸」がとても重要な役割を担っているのです。
リン酸はマイナスの電荷を持ち、DNAやエネルギー生産で大切なATP(アデノシン三リン酸)の官能基として存在します。
※参照、Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アデノシン三リン酸
このATPが加水分解して、二リン酸(ADP)となります。
この時にリン酸が一個外れて、この時に大きなエネルギーを生み出して身体を動かしているのです。
いわばエンジンを動かすもとのガソリンの燃焼と同じですね。
運動するためのエネルギーはどの経路で得ているのか?乳酸とクエン酸
◎酸素のいらないエネルギー生産
筋肉中のATPはわずかですので、消費されると枯渇してしまいます。
そこで、ATPの消費と同時に補給する必要があり、他のエネルギー源を使って、ADPとリン酸をまたATPに戻す必要があります。
筋肉中にはほかにクレアチンリン酸があり、ここからリン酸を与えることができます。
しかし、これは酸素を必要とせず、瞬発的な大きなパワーを使う時にだけ使用されます。
この時に必要なエネルギー源を素早く生み出す源が、グルコース(ブドウ糖)なんです。
グルコースは分解して乳酸になります。
この時にグルコース1分子から、2つのATPが生産されます。
この反応には酸素は必要とせず、素早くエネルギーに変わります。
◎酸素の必要なエネルギー生産
もう一つのATPを生産する回路として、クエン酸回路があります。
1分子のグルコースを酸素と様々な栄養素を使って、最終的に水と二酸化炭素にする反応で、合計32個のATPを生産できます。
この回路は乳酸反応よりも速くエネルギーを生み出さないが、時間を掛けて多量のエネルギーを生み出します。
クエン酸回路は脂質もエネルギー源とでき、長時間の運動を続けるために効率的であります。
つまり、リンはエネルギー生産の代謝過程で必須の元素であり、まさしくパワーの源であるのです。
◎リンの栄養素はどこから取るのか
農業でも、土の栄養素として、このリンは非常に重要であり、農薬としても使われているほどです。
また、実は食品添加物としても、このリン酸化合物は様々な形で使われています。
リンは通常の平均男性でおよそ1g弱を摂取していると言う国民健康の栄養調査のデータがあります。
主にリンは土に接している動植物から間接的に栄養を取ります。
代表的な食品としては、乳製品、卵、魚、豆類、穀物に多く含まれています。
糖質やタンパク質の栄養素だけでなく、リンという面からもこれらの食べ物が大切なんですね。
スポンサーリンク
▶