硫黄の様々な化合物と硫化水素の毒性とラピスラズリの青色
2019年08月08日今日の元素特集記事は、すいへーりーべーの20元素の中で、16番目の元素のSiPS(シップス)のS(ス)である硫黄(Sulfur)です。
sulfurはラテン語で「燃える石」を意味します。
日本語の「硫黄」の語源は諸説あり、石が流れる火山流石から連想し、「ゆわう」と呼んでおり、それを「ゆわう」→「いおう」、となり当て字で「硫黄」としたと言われています。
硫黄とは日本語では「溶けて流れやすい黄色い鉱物」と言う意味があります。
ちなみに、環状のS8の融点付近では黄色となり、ゴム状硫黄も透明な黄色となっています。
昔は「地獄から湧いてくる」と言われる、悪魔的なイメージがありました。
※2024年2月更新
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◎様々な用途の硫黄化合物
硫黄は工業用利用として、様々なところで使用されている重要な元素です。
硫黄と言えばまず思い浮かぶのが、温泉などの卵の腐った臭いで知られるH2S硫化水素です。
そして、類似したガスであるSO2二酸化硫黄に、化学実験でよく使われる危険な水溶液であるH2SO4硫酸があります。
他に有名なのが、硫黄を加えて熱した(加硫)ゴムは弾性を生みます。
そして、火薬、合成繊維、医薬品、農薬、脱色としても硫黄が重要な原料となっています。
生物学的にはビタミンB1、ビオチンに含まれ、アミノ酸としてはシステインとメチオニンがあり、酵素反応でも利用され、生きていく上でも欠かせない元素です。
ニンニクや玉ねぎなどのネギ科にも硫黄化合物のアミノ酸が含まれていて、ニンニクが細かく刻まれるとアリシンとなることは有名です。
また、Sを化学構造内に含む硫黄化合物は嫌な臭いのイメージがありますが、少量であればよい香りとしても存在します。
例えば、トリュフ、コーヒー、パンの焦げ、等に含まれています。
◎毒性の高い硫化水素
よく、温泉街やマンフォールなどで硫化水素中毒が起こります。
殺菌作用や、血管拡張作用があり、温泉などでその効力がありますが、高濃度になると神経系の障害を起こします。
日本産業衛生学会が定める許容濃度は5ppmであり、これ以上の高濃度を吸い続けると死に至ることから、自殺やテロにも使われるほどの毒ガスでもあります。
◎硫黄を含む鉱石ラピスラズリの瑠璃色
ツタンカーメンの黄金のマスクにある青色のアイライン
フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』の青いターバン
これらはラピスラズリを粉末状にした青色顔料として古くから使用されていました。
日本では瑠璃色や群青色として使われています。
「ラピス」は石で、「ラズリ」は青い空の意味があります。
青色石(ラズライト)を主成分として、化学式は「(Na,Ca)8(AlSiO4)6(SO4,S,Cl)2」であり、
青色を発するのはこの構造の中にある硫黄イオン(S-)があるためです。
昔は鉱石からこの青色を精製していましたが、現在は人工的に作ることができ、絵の具や塗料として幅広く使われています。
このように硫黄は歴史が古く、そして今でも幅広い利用価値があるんですね。
すいへーりーべーぼくのふね下ネタ覚え方集(周期表の元素記号イオン化傾向)
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