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鉄平塾

〜運動と健康の理論的な研究~

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【キャノンボールパワー2019満身創痍の参戦完走記】後編

2019年03月29日
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前回の続き……

【キャノンボールパワー2019満身創痍の参戦完走記】前編

※今回もクソ長いのでお暇な時にでも読む小説として

【第二章一部】

◎モチベーションがあって人は動ける

(宝塚塩平寺広場から折り返しスタートまで)

須磨浦公園からの往路を7時間4分で、ほぼ目標通りたどり着けた。しかし、思った以上に、焦りとトラブルからか既に疲労感は満載だ。

通常、想定してた片道での身体の疲労感と精神的疲労感は、イーブン(半分半分)のイメージであったが、それ以上の感覚でしかなかった。

キャノンボールパワーの難しいところが、「モチベーション」であって、片道を終えた地点での身体的疲労感と精神的疲労感が半分以上になっていれば、来た道を折り返してスタート地点に戻る気力なんてもう湧かないのである。

同じ7時間で行くって言ってた、どんちゃん、もりちゃん、くらちゃんの3人もすぐに折り返してスタートしたようだ。

もりちゃんさんが休憩10分でスタートしていくときに、「頑張ってきてください!」と肩をポンッと叩いて送り出したら、後から聞いた話それがとても力になったと言われた。

こういうのが本当に「モチベーション」になるのだ。今の僕の「モチベーション」はなんだ?と考えた。

とにかく、身体の疲労を回復させ、怪我の処置をして、栄養を取りながら、一つしなければいけないことがあった。それをせずに、僕はここを折り返してスタートなんて出来なかったのだ。

それは、序盤早々に置いていってしまったグッチさんの到着を必ずここで迎えること。そして、後半は夜が明けてから一緒に行こうと思った。

待っている間に、夜中の駅から離れて丘の上なのに素晴らしい私設エイドがあった。赤の蒸留液と沖縄の泡液のお湯割りに、豚キムチ鍋を頂いて、胃袋と心身まで温まった。

走り終わった知らない方々と暖を取りながら、

「これから折り返すんですか~」

「僕はもう帰りますが、始発待ちです」

「ぇ、宝塚はもう5時から動いてますよ」

なんて話しながら、なんて穏やかな雰囲気なんだここは、居心地が良過ぎる。

4時に到着して5時過ぎにグッチさんが来た!色々と苦労したようで8時間ちょっとかかっての到着だったが、とにかく無事だったことにホッとした。

しかし、

「下りで足を痛めて、もうトレイルの下りは無理なんで折り返せないですよ~」

と、いつもの笑顔が消え、なげいている。

「じゃあ、もう始発も動いているし、家もここからなら近いし、グッチさんは帰りますか?」

って聞くと、

「いやいや、須磨までロードで走っていきます!(超笑顔)」

ぇ、意味が分からない?足痛めてるんでしょ?何のために須磨まで?答えはシンプルでした。

「鉄平さんをゴールで出迎えるためです!(超笑顔)」

こんな人、世の中にいるのかと、夜が明けてきた太陽の光に目が涙ぐむのを堪えて、僕はそれを「モチベーション」にしようと決めた。

「脚は痛めてるけど、不慣れなトレイルを行くより、たかが30キロくらい知ってる道なんで、ロードなんてすぐですよ~」

と言う、言い分らしい。が、理解出来ない。笑

行くと決めたら僕は回復を優先させ、まばらに折り返しスタートしていくパワーの人が次々と進み始めたが、焦らずに陽が昇り暖かくなり、補給と休息を充分に取るため時間たっぷりとここで待った。

キャノンボールパワーの折り返しは今は自由だ。そして、折り返し地点での休憩時間はタイムに含まれない。つまり、往路のタイム+復路のタイムの合計時間のみとなる。

だから、いくら休憩しようが、直ぐに出発しようが自由となっている。しかし、そこにはそれぞれの葛藤があり、休憩した方が回復できる気もするが、待ち時間長いのも辛いし、身体が固まってモチベーションも低下する説もある。

でも、僕は休憩は取れるなら取った方がいいと思う派である。例えばフルマラソンで、ハーフの地点で休憩を2時間取って、もう一度ハーフを走れば絶対フルマラソンは速くなる。

実際に僕は3年前のパワーでは、往路7時間18分で、折り返しを3時間半寝てからスタートした復路は6時間20分で、復路の方が速いタイムだった。

それがあったので今回も行けると思って、満を持しての太陽がある程度昇った時点での折り返しの旅に歩みを進め、最初の階段を一歩一歩確実に登り始めた。

【第二章二部】

◎山頂は登ってしまえば踏み台になる

(復路スタートからまで)

休憩はしたものの、思った以上に脚が重いし、痛めた太ももと足首の筋がまだ痛む。

宝塚から一軒茶屋までの東縦走路の登りは、六甲縦走の中では一番登っている箇所だ。

そして、本当は直ぐに折り返すつもりだったから、早朝に着くはずの一軒茶屋で私設エイドをして待っている山の駅の仲間がいる。おそらく僕がまだ来ないと心配をしていることだろうと、この区間は全力で行くことにした。

往路のスタートはうって変わって、周りに人が全くおらずに、ほとんど一人旅。

たまに先にスタートした落ちてくる人が前から現れるくらい。と思っていたら、前からたまにランナーとすれ違う!

塩平寺広場に向かっているナイトスピードとパワーのランナーが頑張っているのだ。

にもかかわらず、向こうは「パワー折り返しですか!凄いですね!」「頑張ってください!」と声をたくさん掛けてくれる。

そして、同じチームの仲間やトレラン仲間を見つけた時はテンションが上がって、お互いハイタッチとエール交換☆

1人だと思っていた登りが、一人じゃない。そう確信した。それがまた「モチベーション」になる。

人は、壁にぶつかって伸び悩んだ時に挫折しそうになる。でも、今の時点ではまだ実力が足りないとしても、このまま努力を継続すれば必ず伸びていくと信じることだ。

今の時点で力がない、と決めつけてしまったらそこで終わってしまう。まさに、『諦めたらそこで試合終了ですよ』

だからこそ、今の目の前の壁ばかりではなく、その先の未来のことまで考えてどうするかという視点でとらえる必要があるのだ。

今は天井に見えるあの位置も、その壁を乗り越えてそこに立ってしまえば、天井が床になるのである。そして、宝塚から見たこの六甲山頂もここまで登れば自分の立つ地面になった。

そうして、パワーに変え、急登もガシガシ登って行き、一軒茶屋に7時間ペースの予定通り1時間40分で着いた。

そこで、もうやってしまった感の、残りの身体的精神的メーターはあと4分の1だ……

仲間の私設エイドでコーヒーとフルーツを頂き、椅子に座らせてもらい、しばし回復。

そこでゆっくりと自己確認。眠さは全くない、寒さもそれほど感じない、エネルギー的には補給ばっちりなんで問題はない、脚はやや痛いけどまだ走れそう、体調は?よく分からない。

うん。大丈夫だ。とにかく次はロード、歩かずひたすら走っていれば、掬星台まではたどり着ける。そこからまた考えよう。

椅子から立ち上がり、ロードを振り絞ってキロ5で再び走り始めた。
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【第二章三部】

◎ロードで休息と言う発想の転換

(一軒茶屋から市ガ原まで)

宝塚から須磨へ向かう復路は、一度一軒茶屋の最高地点に上ってしまえば、あとはそれ以上高いとこに行くことは無く、市ガ原までは基本的に下り基調である。

そして、この区間のトレイルの登りは無く(アゴニー坂はロードで)、ほぼロードの下り区間が多い。

ある程度一定のペースで、下りの重力を頼りに足を蹴らずに上げて回転させるだけで勝手に前に進むから、感覚的に自転車に乗って休憩している感じ。

この区間はひたすら走り続け、一度も歩かずに、無心で休憩している感覚だから、極楽茶屋もガーデンテラスも藤原商店にも目もくれず進み続けた。

そのおかげで、山頂付近では樹氷が出来るほど凍てついた寒い早朝の中でも冷えることなく、約10キロの掬星台までの区間を1時間で走破した。

そこでは仲間の私設エイドと、あずま屋のエイドでゆっくりと肉系、スープ系を頂いてさらなる回復。

あとは市ガ原まで一気に下ればもう半縦走でゴールは見えるはず!と意気込んでトレイルを下り始めた。

しかし、最初の木段で異変が。いつものように思うような軽やかな設置時間の短い、ブレーキの掛からない足さばきが出来ない。

ロードの下り基調で飛ばした脚が硬直しているのだ。それに、往路で痛めた左太ももと右足首も痛み、それをかばってバランスの悪い走りになって、左脹脛(ふくらはぎ)と、右腸脛(ちょうけい)と右足底が硬直してきた。

脚を上げると靴の重りで重力が働いてそれに引っ張られるような感覚で右腸脛が痛む。今日はこのスタイルのため、わざわざ重めの厚底でも、黒一色のトレランシューズを選択した。それが重いのだ。

下って着地した時に吸収して反発する筋肉がもうない。だから、ポンポンポンと設置時間の短い足弾きが出来ないから、どうしても設置時間が長くなり、それが余計にダメージとなって重なるし遅くなる。

いつも鉄平塾で言って実践していることが出来なくなるのは初めてだ。補給不足のエネルギー切れから来る筋肉ダメージではない。これは明らかに筋肉のオーバーユース(使い過ぎ)だ。

ここから一気にペースダウンし、サッとと降りるいつもの摩耶山からの下りもノシノシ走り。

そして、本当は速い折り返しから余裕でゴールして、スピードの優勝するシガウマラの仲間を迎えようと思っていたが、この下りでもう来た!

「鉄平さんもうここですか、速いですね~」

と言っていたが、違う、逆に遅すぎるのだ。そして、あなたが速すぎる。笑

下りは見惚れるほど軽やかだった。もし、余力があって脚もいたくなければ、少し付いて行こうと思ったけど、全く無理。

もう一人一緒について走る仲間がいて、その人は明らかに下りを無理して頑張っている着地の走りで、これは後半はダメージで離されるだろうな~と見ていた。

ようやく、市ガ原に到着し、トイレと仲間のエイドでしばし休憩。この辺りからスピードの5時間台のトップランナーが追い抜かしていく。前のキャノンボールパワーでは、スピードの人を追いかけてパワーに変えたのだが、そんな力はもうない。

【最終章】

◎なぜ僕らは走り続けるのか?

(市ガ原から須磨浦公園ゴールまで)

最初の太龍寺までのロードの登り坂が走れない…… 今まで何回も出てきてここを歩いたことが無かったのに、初めて歩いてしまった。スピードの人にガンガン抜かされる。

でも、歩く中で色々と試行錯誤を繰り返した。その中でも「パワーウォーク+脚上げ」で走れなくなった登り坂は無理に頑張って走るより、楽だし速いことを発見した!

これはロングトレランの脚が終わった後半ではかなり使える。詳しくはまたこれからの実践講習『鉄平塾』でしよう。

こんな感じで、登りはもう走らずにこの歩きで、走れるとこだけちょこちょこと走るのを繰り返して鍋蓋山まで。

そこでは同じチームの仲間がいて、コーラを頂きながら座って休憩。

また、今度は鍋蓋山のガレた下りだが、やはり軽快に下れずノシノシ走りしか出来ない。

天王寺橋を渡り、今度は菊水山のガレ場の登り。ここは両手が自由だ~!脚は終わっているのでほぼ手と腕力だけを頼りに登る。これこそトレランは総合力であり、脚が終わっても手腕が使えた方がまだ進めるのだ。

知っている人は知っていると思うが、僕は上半身や腹筋はランナーに似つかないほどムキムキだ。かの有名なキャノンチャンプもムキムキだ☆

何とか残った全身の力を振り絞って菊水山山頂へ辿り着くと、くっすんが同じようにボロボロになって下りが下れずヨチヨチ歩きになっているとのこと。

「でも、なんとか必ず完走はします!」

と眼だけは死んでいなかった。

大阪国際女子でも生目で見たが、必死にヨレヨレで泣きながらゴールへ真っ直ぐ目を向いて走っていたが、この「モチベーション」はどこから来るんだろう。

僕ももう脚はどこが痛いのか分からないくらい、全部痛くて、手すりを必死につかみながらヨチヨチ歩きになって、ハイカーさん集団が沢山登ってくる列に元気に挨拶しながら階段を一歩一歩下って行く。

鵯越手前でまた同じチームの仲間が!さらには私設エイドでも癒され、丸山市街地でも仲間に遭遇!ヘロヘロで何をもらったか覚えていなかったが、元気は確かにもらった。

高取山を同じように登っていると酒猿さんが!朝の9時に折り返しスタートで追いついて着て、

「復路も5時間台で行けそうやわ」

と、圧倒的なレベルの違いを感じさせる。

そして、歩行区間の登りが僕の理想の歩きの登り方だった。全く速そうに見えないのに、パワーを使ってる感じもなくて、スイスイと上へ上へと進んでいく。見えてるのに確実にじわじわ離れていく。

あれ、まさに「パワーウォーク+脚上げ」の回転と歩幅の大きさで登っている。パワーを使うのは、効率的に一定方向のベクトルの一瞬だけで、後は脚を上げて登る方法だ。

高取山の山頂を越え、またガレ場の下り。もう走れないから、歩行区間でちょうどいいので早歩きに徹して下る。

そして、ようやく妙法寺。いつもはここでラストスパートの7キロを1時間で行くのだが、もうそんな力はどこにも残っていない。

でも、ここまで来たらあとは須磨アルプスのラスボス横尾山だけで、1時間半でも掛ければ須磨浦公園まで行けると確信した。

神社からの階段ショートカットと、住宅街マル秘抜け道を通り、登山口へ。

通常ルートのくねくね道&急階段を登るのは絶望したので、馬の背ワンちゃん散歩で有名な女性ランナーに、以前、口頭で教えてもらっていた、馬の背まで一気に真っ直ぐ直登する、川沿いの尾根ショートカットをぶっつけ本番で登る!

このルートは意外と踏み跡が合って分かりやすいし、地図で確認してもほぼ真っ直ぐの直登で、木の枝とか岩とかつかめるので効果絶大のショートカット☆

馬の背を越え横尾山を必死に超え、あとは下り基調!

脚はもう限界を通り越して、ジョグさえもめっちゃ遅いし、まともに走れない。

「なんで、こんなに苦しいことをしているんだろう」

それは、ランナーは必ず思い、繰り返す自問自答だ。

でも、来た道を思い返せば、夜の須磨浦公園からスタートして、行きの景色は街から山へ向かう登りでも、帰りは晴れて街や海を見下ろす感じで下って行く。

同じ道でも全く違う景色とスタイル。僕はこの自然と街が調和した六甲縦走を両方の方向に走るのは、何て素晴らしいことなんだろうと感じていた☆

そして、土や根や芝や色んな地面を踏みしめ、草や花や木や沢山の色を感じて、冬から春、夏から秋と四季折々な景色の移り変わりを味わえる、都会から離れた非日常の空間と体験☆

もう脚の痛みなんてどうでもいい。補給食のことも書こうと思っていたけど、長くなったからどうでもいい。補給食は今回完璧だ。

ダメだったのは走りこみ不足からくる筋持久力のなさを痛感。でも、ロングやウルトラは脚が痛くなってからが勝負だ!

ロングトレイルはキツイ、これ以上は今は無理だ、ロードウルトラ100キロ行けるのか?

でも、一度決めたことはやり切るのが僕の真骨頂だ!

今までラン歴10年、5kmからフルマラソン、ウルトラ100キロ、いろんなトレランのレース。

練習会に、様々なイベントを含めて数えられないくらい走ってきたけど、一度も途中で諦めたことは無く、必ずゴールまでたどり着いている。

今までのラン人生で生涯2度のDNS(Did Not Start)はあるが、

生涯一度もDNF(Did Not Finish)はない!

これも総合力で、走るまでの準備や調整や、怪我しない無理しない走りや体作りや栄養、などが本当に大切だと感じる。

今回のモチベーションは「時間」なんてもうどうでもよかった。

須磨浦公園で待っているグッチさんの元へ辿り着くことだけを必死に考え脚を進めていた。もう考えることはそれだけだ。

「なぜ登山者は山に登るのか?」

「なぜランナーは走るのか?」

「そこに山があるから」

「そこに道があるから?」

そんな単純な答えなんて誰ひとりないと思う。

「なぜ人は生きるのか?」

それくらいの究極の問いだ。

「なぜ走るのかを考え続けるために、僕は走り続けている」

それは、

「なぜ生きているか考え続けるために生きている」

のと一緒だと僕は思う

今回の長旅は、往路7時間4分、復路7時間32分で終えたが、これから続いて行く旅路のまだ単なる通過点に過ぎなく、一旦ここで目標のゴールに辿り着いたので小休憩。

ゴール後は満身創痍でうつ伏せに倒れ込み、グッチさんに強過ぎるマッサージをしてもらい、祝杯にと奢ってもらったビールで気持ち悪くなり帰りの電車は超グロッキーに……

~完~

以上!長々と第一部二部に渡る長文をここまでお読み頂きありがとうございます!

完全なるノンフィクションの実話ですが、小説風にして書き下ろしました✏️
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