【鉄平塾】トレイルランニング走り方教室と健康法の学びブログ

『比叡山駅伝 』

 

◎プロローグ 

　鴨川沿いの桜が散り、その東側に立派に存在する雄大な比叡山の木々たちにも黄緑色の若葉が生え始め、京都の市街地から見える山は新緑の季節となってきた。 

 

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　京都と滋賀の県境にそびえたつ比叡山は、かつてから「都富士」と呼ばれ古くから愛されていた山で、天台宗の総本山がある。 

　太陽が木の枝に当たる様子から、日枝(ひえ)と言われ、山岳信仰の対象とされ、山の山頂付近には天台宗の総本山である延暦寺が存在する。古くから修業の場とされ、京都の修学院から延暦寺を往復する僧侶や朝廷の勅使(ちょくし)が山道を通っていた。織田信長に焼き討ちされたことでも有名となっている。 

 

「世の中に山てふ山は多かれど山とは比叡のみ山ぞいふ」 

平安時代の天台宗の僧が詠んだことでも知られる。 

 

　新緑が美しい春先のゴールデンウィークが終わった5月中旬、比叡山の山の上では今年も熱い戦いが繰り広げられようとしていた。 

　これまでに1200年もの長い歴史を積み重ねてきた比叡山という場所。その雄大な山の中で仏様に近づこうと難関の山々を越えてきた人たちが通ってきた道がここに続く。現在の信仰に続く道がこの山に存在する。 

 

『比叡山インターナショナルトレイルラン』 

2016年の5月30日(土曜日)に伝説の第1回が開催され、2025年で10回目の開催となるトレイルランニングの大会としても歴史ある大会である。 

 

コンセプトは、 

『挑め、己の限界に』～Push Yourself To The Limit～ 

 

　欧米での厳しいロングレースを自分の心の内のなかでは常にこう位置つけている。 
 
「自然を慈しみながら、己と対峙し、そして新しい自分に出会う旅」 
 
そのために全身全霊を込め、究極の境地にまで自分を追い込むことで、自分の知らない世界にまで己を高めるのだ。1200年の歴史を有する比叡山。荘厳な森のなかで仏に近づくために幾多の困難を越えてきた人々の道がそこにはある。現在人の琴線にふれる道がそこに存在する。長大な50ｋｍのこの山道を越えることでしか見ることのできない境地。 
 
己を見つめ、壁を乗り越え、そして人は生まれ変わる。 
 
21世紀のスポーツ「トレイルランニング」。その原点に触れる旅がここにはある。 

 

※比叡山トレイルランの大会ではこのように記されている 

 

 

　比叡山インターナショナルトレイルラン2025年の大会がこの比叡山の延暦寺会館前でスタートが行われた。 

　午前8時50分に、全国の精鋭たちが集まる『50マイル』のカテゴリーで、その号砲が放たれた。 

 

実況：「さぁ、今まさに！この比叡山延暦寺のもと、全国から集まる清栄のランナーたちが50マイルの試練の旅に向けて出発しました！」 

 

「この比叡山トレイルラン大会の主催の葛城です。今回10周年大会を記念して、50マイルと50キロの大会上位者には、今年2025年秋の10月に開催予定の『比叡山駅伝』への出走権を与えたいと思います」 

 

実況：「葛城さん！それは、この比叡山に集まる精鋭たちの中でチームを組んで、この山岳の過酷なコースを使ってタスキをつなぐ熱い戦いが、ここで繰り広げられるわけですね！」 

 

「そうなんです。この比叡山のこの地で、あの箱根駅伝のような全国に名の知れるトレイルランニングの大会が行われることになればと思います」 

 

実況：「葛城さんも、かつては箱根駅伝を目指したランナーでしたね！それに今、日本で世界と戦っている山田礼選手も」 

 

「なので、この比叡山に出場する選手だけではなく、昨年行われた各全国でのトレイルランニングの優勝者にも、比叡山駅伝の出走権を与えたいと思います！」 

実況：「そのチームというのは、葛城さんが決めるんですか？」 

 

「そんなわけないでしょう（笑）　完走して上位に入賞した人たちの中で、10月の大会の1か月前までにチームを組んでエントリーしてもらいたいと思います」 

 

実況：「なるほど！この今まさに始まったレースから、駅伝のチームの選考がスタートしたわけですね！」 

 

　この日、今まさに走り始めた50マイルのランナーたちはこのことを聞かないままゴールを迎えることになる。また、これから走り出そうとしている50キロの選手たちはスタート前にこの話を聞いて大歓声が起きたところだった。

 

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