旭化成吉野氏のノーベル化学賞で注目!リチウムイオン電池のリチウム元素
2019年10月10日2019年10月9日に、日本人として田中幸一さん以来のノーベル化学賞に旭化成名誉フェローの吉野彰氏が選ばれました。
その選出の理由となったのは「リチウムイオン二次電池の開発」でした。
今では、携帯用の充電電池として普及しているので馴染みがある名前ですが、そのリチウムと言う元素はどのような物質なのでしょうか。
◎リチウムイオン二次電池の構成
電池とは正極と負極の電位の異なる電極を電解液で接触させてその電位差から放電される製品です。
二次電池は二極間をイオンが移動することで、放電だけでなくて逆の反応を利用して充電できる電池のことです。
そのイオンにリチウムイオンLi+を用いて電解液ではなく固体の電解質を用いたのが、「リチウムイオン二次電池」となっています。
一般的には通称「Lithium ion battery(リチウムイオンバッテリー)」でLIBやLi-ionと呼ばれ、ソニーが命名しました。
代表的な構成は、正極にリチウム-金属酸化物、負極に炭素材料、有機溶剤などの非水電解質を用いています。
それらの材料に各メーカーの工夫があり、金属酸化物にはコバルト、マンガン、チタン、ニオブ、鉄などの遷移金属が使われます。
リチウムは周期表で3番目の金属元素で、炭素は6番目の元素で、電解質も軽量の材質で構成することから、非常に軽くて小さいかつ、高容量高電圧(4V近く)な電池ができるのです。
※Wikipedia参照
◎リチウムイオン二次電池の歴史
1980年前後に、ノートパソコンや携帯電話の開発が進められ、小型軽量の二次電池の重要が高まる中、従来のニッケル水素電池では限界がありました。
そこで1976年に、アメリカのエクソンモービルのウィッチンガムが最初に金属二次電池を考案しました。
(吉野氏と同時に2019年のノーベル化学賞)
しかし、電極の反応性に発火や高熱などの問題があり、実現は難しくなっていました。
その後、1980年に同じく2019年のノーベル化学賞となったオックスフォード大学のグッドイナフと日本の水島氏が、正極にコバルト酸リチウム (LiCoO2) を使用する構成を考案しました。
そして、1985年についに吉野氏が、正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素材料とする二次電池の基本概念を確立しました。
また、水系を用いない電解質を積層させたセパレータの考案も今の電池には欠かせない構成となっています。
その後、1981年に世界で初めてソニーがリチウムイオン二次電池の商品化に成功しました。
僕の生まれた年ですね。
そして今では、ノートパソコンやスマートフォンの充電池として幅広く利用され、自動車用充電池としてハイブリットカーや電気自動車への利用として開発が進められています。
◎旭化成名誉フェロー吉野彰氏の功績
1948年、大阪吹田市生まれ(2019年71歳)で、
千里第二小学校、吹田市第一中学、北野高校、京都大学工学部で石油化学科に入学。
大学院修士を卒業後、旭化成に入社し、大阪大学で工学博士号を取得。
実は大学院では量子有機化学を専攻し、光触媒のような材料の開発を行い、紫外線の照射反応などを調べる光化学を研究していました。
現在は、名城大学大学院理工学研究科の教授で旭化成(株)名誉フェローの役職に赴任中であります。
◎リチウム元素の性質と利用
リチウムは周期表の三番目の元素であり、「すいへーりーべー」の「りー(Li)」の部分です。
すいへーりーべーぼくのふねで周期表の面白い下ネタ覚え方を紹介
単体では銀白色の柔らかい金属であり、原子量は6.941と一番軽金属で、アルカリ金属元素の一番上となっています。
ギリシャ語で「石」を意味して、1817年にリチウムが鉱石から発見されたことから名づけられました。
リチウムは海水や鉱石に溶け込み存在しており、チリが世界最大の産出国となっています。
一価のイオンLi+を取りやすく、空気中では、窒素化リチウムLi3Nや、酸化して酸化リチウムLi2Oとして存在しています。
他には炭酸リチウムLi2CO3や水酸化リチウムLiOHとしての化合物があります。
最大の特徴は、イオン化傾向が大きく、酸化還元電位は全元素中でももっと低い-3.045Vとなっています。
炎色反応としては深紅色の濃い赤色を示し、花火や発煙筒の材料としても利用されています。
また、人間にとっても必須微量元素として1mg/dayの摂取が推奨され、飲料水中に含まれる天然由来のリチウムが人間の寿命を増やす可能性があると言われています。
このように現在は、水素と並び軽い元素としての需要が急速に高まっているのです。
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