水銀は唯一の液体の金属で毒性が強い元素
2019年12月19日
水銀と言えば、今はかなり良くないイメージがありますよね。
鉛やヒ素、カドミウムと並び身体に入ると毒性が強い金属です。
そんな水銀の性質や歴史をご紹介したいと思います。
◎水銀の名称
日本語は「水銀」で、英語では「mercury」、元素記号は「Hg」となっています。

※参照 wikipedia
元素番号80番目の元素で、第12族に属し、周期表では亜鉛、カドミウムの下に位置します。
常温・常圧で唯一個体ではなく液体(流動体、ゾル状)の金属です。
水のような液体で白銀の色をしていることから、「水銀」と名付けられています。
水と銀を意味する「Hydrar gyrum」のラテン語から、「Hg」と略されました。
英語の「mercury(マーキュリー)」は、天体でもあるように、「水星」のことでもあります。
また、神々の使者として天地を自由に駆け巡った、ローマ神話のメルクリウス(Mercurius)の名からも来ています。
◎水銀の性質と利用法
性質としては、常温のとき液体で存在する唯一の金属として有名です。
これは固体に凝固する融点が、-38.83℃だからです。
流動性のある性質を利用して、圧力の測定には水銀が用いられ、「Torr」または、「mmHg(水銀柱ミリメートル))が使用されています。
また、他の金属と合金を作りやすく、銀、スズ、銅などとの合金をアマルガムと総称されて歯の治療などに使われました。
水銀の熱膨張性が温度に対して直線に近いことから、水銀温度計として多く利用されていました。
昭和時代には懐かしいですが、赤チンとしての成分に消毒薬のマーキュロクロム (C20H8Br2HgNa2O6)の材料として使用されていました。
◎水銀の毒性
水銀の毒性や害が注目されたのは、1950年代に熊本の水俣湾で起こった水俣病です。
アセチレンを原料にしたアセトアルデヒド・酢酸・塩化ビニル等を製造している過程で、金属水銀を使っています。
その排水に含まれていた有機水銀である「メチル水銀」が魚などで広がって人間に中毒を引き起こしました。
ただし無機水銀(金属水銀単体)では、それ自体に毒性は無く体内に混入したとしても、そのまま排出されます。
しかし、その水銀が酸化したり、気化した場合には体内に悪影響を及ぼします。
さらには水銀は誤って燃やすと大量に効かして毒性ガスとなるため大変危険なものとなります。
以上のことから、許容摂取量や環境基準が厳しく定められ、RoHs指令としても指定された使用制限の高い物質となっています。
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